ラヂオの時間

1997日本
ジャンル:コメディー
監督・脚本:三谷幸喜 製作:村上光一、高井英幸 音楽:服部隆之 
原作:三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ「ラジオの時間」より
出演:唐沢寿明/鈴木京香/西村雅彦/井上順/戸田恵子/梶原善/並樹史朗/奥貫薫/小野武彦/
    藤村俊二
ストーリー
●内容が画期的。この作品はコメディです。といっても日本映画お得意の人情喜劇でもなければ、作り手だけが楽しんでいる「悪ふざけ」的な作品でもありません。思いっきり笑えて、そして最後は暖かい気分になれる、ハートウォーミングなシチュ工ーションコメディ。こんな喜劇が今までこの国にあったでしょうか。
●原作が画期的。この映画の原作は舞台劇が基になっています。舞台版「ラヂオの時間」は、劇団「東京サンシャインボーイズ」が93年に上演し、好評を博しました。全編がラジオ局の中で展開される密室コメディ。だからドラマに緊迫感かあります。今回は、映画用に全編を書き替え、よりスリリングな展開になっています。
●脚本が画期的。書いたのは私です。この作品には従来の日本映画にはない「あっと驚くスピード感」があります。シナリオは、常識的に考えると二時間半の大作になる分量でしたが、完成した映画はなんと1時間43分。しかも台詞は一行もカットしていません。それだけ考えても、いかにこの作品か早いテンポで展開するかお分り頂けるでしよう。
ドラマは一度もたるむことなく、情況は猫の目のようにめまぐるしく変わり、登場人物は猛烈な勢いで喋りまくります。
●キャストか画期的。主人公のやる気のないディレクターに唐沢寿明。その上司で調子のいいプロデューサーに西村雅彦。そして自分の脚本が採用され、ラジオ局に見学に訪れた主婦作家に鈴木京香。この三人を中心に、井上順、布施明、藤村俊二といったバラエティ畑の面々から、細川俊之、渡辺謙、小野武彦、梅野泰靖といったベテラン陣、そして梶原善、近藤芳正、田口浩正といった若手に加えて、「アンパンマン」の声でお馴染みの戸田恵子に「クロレッツ」の奥貫薫と、まさにこの映画でしか考えられない豪華な組み合わ世。それは、まるで「夜のヒットスタジオ」と「NHK大河ドラマ」と「東京サンシャインボーイズ」を一度に目にするような、そんな鎖覚を観る者に与えます。そしてその一人一人が、舞台出身の監督による細やかな演技指導によって、特筆すべき名演技を披露しているのです。
●そしてなによりこの映画が画期的なのは、監督しているのが私ということでしよう。
初めての映画なんですけど、気負ってもしょうがないので、娯楽作品であることを心がけました。その結果、カンヌやベネチアからもっとも遠い感じの作品に仕上がりましたが、でも意外にハリウッドは近かったりする、そんな傑作です。
●と、監督自らがそこまで言い切ってしまうこの文章が、もしかしたら一番画期的だったりするのかも知れません。

こんな映画